心疾患患者のデータを読み解く
 
第1回
基本的なモニタリングの意味を知ろう!
西新井ハートセンター病院 白坂友美(感染管理認定看護師)

 循環器疾患患者の循環管理の目的は、「血行動態を安定させ、各組織へ必要な血液量(酸素)を供給させる」事です。そのため、様々なモニタリングが臨床現場では使用されています。あまりにもたくさんのモニタリングに囲まれ、一人の患者が訴えている身体の情報を解釈できずじまいで、数値のみを拾い医師へ報告している看護師もたくさんいるのではないでしょうか? 患者が訴えてくる生体情報を正確に把握することが、循環器疾患患者看護では重要です。

1.心電図モニタ
(1)心拍数(HR)
 モニタの心拍数は、心臓から発せられる電気刺激を体表面から拾っています。そのため、身体に力が入ったり、動いたりする事でノイズが入り、正確に拾えていないことも多々ありますから、まずは「正確に拾えているのか」を見ることが大切です。また、不整脈が出現している時は、心室内への血液の充満が不足し、心臓が収縮しても送り出す血液量が少なく、脈拍として触れない時もあります。心拍数≠脈拍数の事がありますので、不整脈が出現している時は脈拍数(PR)も必要です。
(2)不整脈
 正常なリズムは洞調律です。まずは洞調律をしっかりと覚えましょう(図1)。致死性不整脈には心室頻拍、心室細動、頻脈性・徐脈性不整脈には、心房粗動や心房細動、発作性上室性頻拍、房室ブロックなどがあります。不整脈が出現した時は緊急的対応が必要なのかが大切なポイントです。心室頻拍、心室細動は血圧が保てず緊急性があるのは皆さん理解されていると思います。
 それではその他の不整脈はどうでしょうか? 心室性期外収縮はLOWNの分類(表1)がありますから重症度の分類をすると理解しやすいと思います。頻脈性不整脈は、低心機能の人は血圧が容易に低下し、心筋酸素消費量の増加から心不全の悪循環の要因ともなります。徐脈性不整脈は、心拍出量低下につながります。緊急性はなくても、引き続きの心不全徴候などの循環動態の観察は重要です。

(3)ST-T変化(虚血・梗塞)
 心筋の酸素需要供給バランスがくずれ、需要>供給となるとST-Tに現れます(心筋の壊死はST-T上昇、虚血はST-T低下)。「むっ?・・・ST-T変化?」と疑問に思った時に比較できるように、勤務についたらすぐにモニタ心電図をコピーしておくと良いでしょう。もちろん、ST-Tに変化が認められた場合は、次に十二誘導心電図で記録に残す事が大切です。

★洞調律の定義★
1.P波がある
2.PQ時間0.12〜0.2秒のあとにQRSが続く
3.R-R間隔が規則的
4.心拍数が60〜100回/分

2.血圧
 血圧には、動脈内にカテーテルを留置して血管内の圧を測定する観血的動脈測定と、マンシェットを用いる非観血的動脈測定があります。観血的動脈測定は右心房の高さの大気圧をゼロとしており、非観血的動脈測定は血流を水銀圧に置き換えて測定しているため、二つの測定値には差が生じる事がよくあります。臨床では、動脈硬化が強いと観血的動脈測定値は非観血的動脈測定値よりも高く表現されることが多々ありますが、非観血的動脈測定値は組織への血流をよく反映していますので、二つの方法による血圧測定は重要です。
 観血的動脈波形は以下の事が把握できます(図2)

3.経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)
 動脈血酸素飽和度とは、ヘモグロビンに何%の酸素が結合しているのかを表します。それにより、動脈血酸素分圧が推測できます(図3)

 経皮的動脈血酸素飽和度が90%以下となると、呼吸困難や血圧上昇または低下、脈拍上昇、意識混濁、心電図ST-T変化などの症状が出現しますので、数値と同時に臨床症状の観察も重要となります。
 経皮的動脈血酸素飽和度測定には弱点もあります。以下の場合には注意しましょう。
(1)正確に測定できないケース
・振動や体動
・不適切な装着(よくあるのが、逆にはさむ)
・末梢循環不全
・不整脈
・マニュキュア時 など
(2)動脈血酸素分圧が100mmHg以上の場合
 PaO2 300mmHgからPaO2 100mmHgへと低下する呼吸不全時でも、SpO2は100%となります。同一条件で、明らかに300mmHgから100mmHgへ低下する事は異常です。しかし、SpO2は100%なのです。SpO2測定と共に、患者の呼吸状態を常に同時に観察する事は忘れてはいけません。

 モニタリングは、人による24時間連続監視が不可能な事に対する対応策です。私たちの代わりに変化を教えてくれるものですから、まずはきちんとアラーム設定を行う事が重要です。そして、あくまでも器械が拾う数値や波形ですから、同時に患者の臨床症状をきちんと観察し、医師に報告する事は絶対に忘れてはならないと思います。

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